奈良に住んで60年弱となりました。若いころは仏教的行事や神事など全く興味がありませんでしたが、この数年この目で見てみたい・・・と言う意欲が旺盛になり、休診日ができますと家内を連れていそいそと出かけることが増えました。
ただ見るだけではなく、その背景にあるストーリーが面白く、ついでに歴史なんかにも触れられると賢くなった気がしてしまいます。
しかし地元の行事は「まあまた行けばいいでしょ」となかなか足を運んで来なかったせいで、東大寺廬舎那仏のお身ぬぐいは拝見したことがありませんでした。
丁度今年は水曜日と合致しましたので、早朝東大寺に向かいました。
開始は7時。一般観覧者は7時半からの入堂が許されます。そこで少し早めに受付前に行って待つことに。今回は風景写真家の友人Hくんと。彼の撮影した二月堂のお水取りの素晴らしい写真は本当に素晴らしい写真で、プロ写真家も舌を巻いてしまったくらいです。
実は並んで開門を待っておりましたところ、いろいろとご縁があるK様にお会いしました。K様はお身ぬぐいに従事されるため白装束でお見えになっておられ、お声がけ頂きましたが最初は全くどなたか判らず失礼の限りでした。驚きと失念の中でひたすら畏敬を感じました。
そんな私の気持ちはどこへやら。空は青く晴れ、雲は夏らしい雲。でも暑さは7月のそれとは少し変化しいます。
7時半に大仏殿に入ると蓮華座や手の上、
螺髪の上には白い手拭いで頭を覆い、白装束に草鞋を履いた方々が既に大きなハタキや箒で掃除を始めておられました。
周囲の空間では埃がいっぱい充満しており、これは大変な作業なんだと実感。
しばらくしますと天井から吊り下げられた西、中、東と書かれた籠のゴンドラに乗り、廬舎那仏のお顔から胸やお腹の辺りの掃除も続きます。
一通り終わると時間は9時前。廬舎那仏もスッキリとされたご様子。15日には観相窓が開きこちらをしっかりとお守りくださるでしょう。
それらが終わると大仏殿周囲では放水訓練がありました。
これで奈良に住んでいて自慢できることがまた一つ増えました。