これはなんでしょう?
タイヤ、サドル、斜めになったハンドル。
もしかして事故にあってペシャンコになった自転車?
形からして新しい大型犬用車椅子?
答えは自転車でした。しかも折り畳みが出来る自転車です。
左の写真は犬で言えば「座れ!待て!!」をしている状態。
これが全容です。実はスタンドが付いておりませんので、うしろのフェンスに寄りかかっています。
この自転車「折り畳み小径自転車」とも言いまして、またの名をフォールディングバイク(Folding Bike)と呼ばれております。
これはその中でももっともオーソドックスなBrompton(ブロンプトン)といいまして、イギリスの造園家アンドリュー・リッチーさんが年月をかけてこの世に送り出した自転車です。
日本では単にブロンプトンと呼ばれていますが、本国ではThe Bromptonと定冠詞が付けられ、大英帝国でも認められた存在です。
とっても小さく折り畳むことが出来ることから、公共交通施設(日本では折り畳んで専用カバンに入れて肩から担ぐか、カバーをかけて転がす。ちなみにこれを輪行と言います。もちろん現在は無料です。またイギリスでは自転車をそのまま地下鉄に持ち込めるそうです。アメリカではバスの前面に載せるキャリアーが付いている。)にも持ち込め、重さは11・7kgなので女性でも運ぶことは出来ます。また折り畳み方によっては路面が平らであれば、畳んだままハンドルだけを延ばし転がして移動することも出来ます。
こんな具合です。(これは私ではありません。)
また16インチと車輪は小さいのですが、前後の車輪の距離がその割には長いので、とっても安定しているのも特徴です。しかし段差には弱いところがあり、無理をしてはいけません。
多くの国ではこの自転車で通勤や移動、遊びに用いられ、スーツを着たり、仕事のユニフォームを着て、まじめにレースが営まれているのもユニークなところでしょう。
このターキッシュグリーン(薄いブルー)のBromptonは我が家に縁があってやってきました。自分の手でメンテナンスして可愛がって行こうと楽しみにしております。
この自転車は大阪のBici terminiという上本町のお店でお世話になりました。ご店主のお人柄にお客がついて、とっても楽しいお客が多い自転車さんです。2度目に伺ったとき色の決定に悩んでいたら、丁度お店に寄られた2人組の常連さんが「最初に思った色が一番ええよ」の一言に救われました。それからたくさんのレクチャーも受け現在に至っております。
丁度私がこの自転車を持って帰るときも、見た目60歳代のジャケットを着こなされた上品なご夫婦が、長時間赤いBronptonを前に、他の常連客(スキンヘッドのちょっと怖い感じのお兄さんと細身の楽しいしゃべくりの方)によるレクチャーを受けておられたのも微笑ましく拝見しておりました。誰もが同じ趣味を前にすると、子供のような顔の輝きで話ができる。自転車に限らないことだと思います。
この自転車を見ているだけで、折り畳んで電車に乗ってどこに行こうか。行った先でどんな美味しいものとめぐり合えるかなあ。同じ自転車に乗った人を見たら親近感が湧くなあ。写真も撮れるしなあ。といろいろ瞑想をめぐらしているだけでも楽しいもんです。
日帰りで岡山とか、時には山口や浜名湖あたりも行けそうです。新幹線の一番後ろ座席と壁の間にすっぽり収まるそうですから、もっと遠くへも行けるかもです。