雲ひとつない夕空。今夜は冷えそうです。
気がつけば目の前には平城宮跡大極殿がライトアップされ浮かび上がっています。昨日の東大寺さだまさしさんに続き二夜連続コンサートに来ました。まさに三昧です。本日のアーチストは葉加瀬太郎さん。「情熱大陸」を始めNHK朝の連続小説「てっぱん」など今やTVの音楽では耳に入ってこない日がないくらい大活躍のバイオリニストです。ビジュアル的には髪の毛がモコモコの特徴ある人です。さぞかしいろいろな栄養を音楽に活かしておられるのだろうと思いきや、住居の半分をイギリスに移し、ヨーロッパの風を栄養に活動されているようです。
今回は彼の仲間たちも集まり、ピアノ、チェロ、ギター、パーカッションと抑えどころ満載です。
私たち夫婦の座った席はからは、ステージの人々はちらちらしか見えないまでも、大極殿を真正面から見ることができ、会場のど真ん中でした。
今宵の音楽は平城遷都を意識してか、全体たゆやかかな調べが多く、夜空を東から西、西から東と行き来するジェット機の点滅する光を背景に大極殿がどっしりとしており、まるで今と昔をオーバーラップさせるかのようでした。物理的時間の流れは時として人をエセ哲学者にしてしまうらしく、様々なことを考えさせます。こんな時間を持てること自体、今は困難になってきているのかもしれません。またこのような時間を持たせてくれる音楽が素晴らしいのでしょう。
そんな中で面白かったのが観客の反応です。年齢層は比較的広く20代~60代の方が目立ちました。
まずは拍手のタイミングと意味合いです。演者紹介は比較的小さな拍手です。しかもあまり名前を知らない縁者はなおさらでした。葉加瀬さんが出てくると大きな拍手に変わるのです。おそらく前者は「あんたのことは知らんけど、葉加瀬さんが連れて来たのだから期待はしてますよ。」ってところでしょうか。後者はもちろん「待ってました!」でしょう。
そして曲が終わるともちろん大きな拍手になるのですが、余韻がなくなるか否かで拍手する人。余韻を楽しんで、なお一呼吸置いて拍手する人。様々です。ロックコンサートなどでは大抵の場合前者です。知っている曲が終わるとまさにこれです。しかし聞かせてくれる、考えさせてくれる曲は校舎になる方が多いようです。もちろん年齢的に直ぐに拍手したかったのだが遅れている方は・・・・、そのような方はいないでしょうねえ。
そして時間が経って観客の気持ちもかなりほぐれてくると、頭や肩が揺れてくるのです。寝ているわけではありません。リズムを刻んでいるのでしょう。アーチストたちと共同作業を行ってきているのではないでしょうか。同じ方向性を持って多くの人間が集うことは、とっても心地よい空気が感じられました。
エンディングはやはり情熱大陸。全員総立ちです。と言うか葉加瀬太郎さんが”Everybady stand up!”って。乗せ方が上手いんです。自信もあのボンボン頭を揺らせながら体をくねらせバイオリンを弾いてるのもですから、観客も乗らずに居られません。老いも若きもありません。
そして終演。ああ、今日も楽しかったけど、やっぱり寒かったです。しかし、Emergency Blanket(アルミ箔のような大きなシート)を持ってきたので暖かく過ごせました。小さく畳まれたシートなのですが、大きく広げて膝にかけると、なんと直ぐに暖かさを実感できるのです。NASA宇宙局の開発だそうですが、自分の体温がシートに反射して暖がとれるのです。これで東大寺でのコンサートの教訓が生かせました。
そして帰宅後、次女に「遊び呆けてるなあ」と厳しいお言葉を頂きました。恐縮です。