思い込みは何にしても怖いものです。
最近歩かなくなった。年のせいだからかなあ?そういえば直ぐに座り込んだり、同居している他の犬とも遊ばなくなったよ。と思っていたら今、突然動かなくなって・・・とのことで受診されました。
犬のお顔は情けなそうなくらい元気がなく、呼吸が大きく、口を開けた瞬間見えた舌の色が白っぽいのです。
貧血かな?心臓でも悪くて酸素が足りないのかな?
結果は脾臓に血腫という血の塊が出来てしまい、それを覆っている薄い膜が破れたのです。するとお腹の中が血液でいっぱいになるくらい出血し、それによる出血性ショックで危険な容態だったのです。しかし幸いにも輸血用の血液が間に合い、手術による脾臓の摘出でなんとか乗り越えてくれ皆を安心させてくれました。脾臓はパックリ口を開けて、血液の塊がベットリとくっついていました。
そう言えば数年前、夏バテだろうと思うけど最近吐いて痩せてきた・・・って来られたことがありました。あまりにも痩せていたので内視鏡検査を実施させてもらいました。すると胃の約3分の1に腫瘍があり、これが邪魔して食事が流れにくかったようでした。結果、胃の3分の2を摘出となりました。翌日から食事をとても欲しがっていたのは今でも印象的です。でも既に複数のリンパ節転移はありました。
この2例だけではありませんが、人間は自分の納得できる理由を見つけてしまうと安心してしまうのでしょう。それ以上心配したくないようです。
私は今でこそ花粉症というアレルギーだとわかりましたが、子供のころから春にはくしゃみと鼻水を流していました。病院では春風邪でしょ、って言われていたので、春風邪なんだ~とず~っと思っていたのですが、成人してあるときアレルギーということになりました。もしかしたら春風邪でもアレルギーでも良かったのかもしれませんが、思い込んでいたら事実がわからない。新たにわかってきたことを理解することは大切だなあとつくづく感じます。
先入観にとらわれず、真正面から動物たちの健康を考えてみる必要性があります。
最近動物の高齢化が際立ってきています。1年に1回の健康診断を受けてみてはいかがでしょうか。