先日山口県でフタトゲチマダニから重症熱性血小板減少症候群(Severe fever with thrombocytopenia syndrom : SFTS)の発生が確認されました。少し前から中国で発生しており治療方法がなく、対処療法に頼るしかないと言う事です。病状は割愛します。
この疾患はSFTS ウィルス感染によります。このウィルスは現在のところフタトゲチマダニが媒介すると言われております。
さてこのフタトゲチマダニは、日本全国の草むらならどこにでも見つけることができます。
吸血前は2~3mmほどの大きさですが、吸血すると40~100倍に膨れ上がります。大きくなって皮膚に喰らいついて「昨日までなかったのに今朝おきたら腫瘍が出来ている。」と言って慌てて診察に来られる事も度々です。
(写真注:上記の写真におけるマダニの分類は未定です。)
このマダニはイヌのバベシア症の媒介者でもあるのです。
しかしこのマダニを外から見ても、病原体を持っているのか持っていないのかはさっぱり判りません。
そこで人が草むらに入るときや庭の清掃を行うときなどは、必ず手袋、長袖、長ズボンの着用が必要になるかもしれません。
また動物達には積極的にマダニ駆除剤の投与をしておかれる方が良いでしょう。
もしも万が一人や動物にマダニが食いつたとしても、素手で除去せずに、薄いビニールかゴムの手袋を装着して、ピンセットを用いて取り除きましょう。
またマダニは皮膚深くにアンカー状の構造物を打ち込み、皮膚とアンカーの間にセメント物質を流し込んで強固にくっ付いております。いくら引っ張りあげてもなかなか除去できません。それ以上引っ張ればマダニの顎が千切れてしまい、顎(顎器)から先端が皮膚に残るだけです。
そこで除去するイメージを
地面に棒杭が打ち込んであると想像してください。抜くときに真上に引っ張りあげてもなかなか抜けません。よほどの力持ちでしか無理です。ではどうします?地面から下に打ち込まれている杭の部分をほぐしてやると抜けやすそうです。スコップでこり起すか、それとも棒杭を両手で抱えて、地面に刺さっている箇所を支点にし、土の中で棒杭の先端でグルグル円を描くように棒杭を回すとほぐれます。これを数回行うと棒杭はようやく地面より抜けてくれるはずです。
マダニも同じように回してやると除去しやすくなります。
写真のようにたくさん一度に寄生してしまったマダニは、薬剤でマダニを弱らせて複数の人手を介して除去します。実はこの写真のマダニはごく一部で、実際にはこの5倍の数が寄生していました。またこのイヌは庭でしか遊んでいなかったようです。
イヌもヒトもマダニの感染に十分に注意しましょう。
マダニに対する詳しいサイトがあります。ここも参考にして頂くと良いでしょう。