奈良の動物病院 山尾獣医科病院

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新 狂犬病事情

今年6月にスペインで狂犬病が発生しました。

ある男性が犬を連れてモロッコに滞在中、犬は感染したようで、そのまま知らずにスペインへ連れて帰り4名の子供と一人の大人を咬んでしまったのです。元々攻撃的なピットブルの雑種。そしてワクチン接種をしていなかったのですが、検疫に提出する資料を改ざんし、あたかもワクチンを接種していたように見せかけたのも発覚しました。

スペインでは1975年に撲滅宣言を発表して以来42年ぶりの発生です。国内で撲滅しても海外から簡単に持ち込まれると大変な事になります。

 

またお隣の国台湾では52年ぶりに今月狂犬病が発生しました。発生源は野生のイタチアナグマ3頭が確認されています。

現在のところ人には影響はでておりませんが、3頭の野生動物が感染しているのであるとすると、他にも感染している脊椎動物はあると予測されます。

台湾は日本、ハワイなどと同じく清浄国として宣言されていましたが、52年ぶりの発生に汚染国として経過を観察しなければならなくなりました。

 

これらは日本でもあり得る話しです。事実平成18年にフィリピンで犬に咬まれて帰国し、国内で発症した横浜と京都の2人の感染死亡例がありました。

一方外国船が日本に寄航し、そのさい連れてた犬を連れて帰らずに放置していくケースもあります。大陸ではまだまだ狂犬病はあるのです。ですから一見健康そうでもわかりません。

狂犬病は発症するまでの潜伏期間を過ぎなければなかなか感染していると決定できないのです。確定診断を下すには、脳の組織を取り出して病理組織検査をする一方、PCR法でウィルスの遺伝子を検出するのが一般的です。しかし生きながらにして脳の組織を取る事はできません。

WHOの勧告では、地域のワクチン接種率が70%を越えると、地域免疫力が上がり有効であるといわれています。

しかし現在の日本の狂犬病ワクチン接種率はまだまだその域ではなく、もしも外国から入っているととんでもないことになるのではないか、と危惧している専門家も少なくありません。

今日本にない病気だからと安心せず、狂犬病ワクチンの接種に努めてください。

 

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