竹田城をご存知でしょうか。
兵庫県朝来市和田山にあります山城です。ここは室町時代に建てられた城らしく、あまり詳しい記述はないようです。
現在は城自体はなく石垣が残ってるだけです。
がよくもこんな高いところ(357m)に資材を上げて城を築いたものだと驚かされます。ちなみに生駒山は642mだそうです。調べると積まれている石は山の石を利用しているらしいです。それにしても恐ろしい労力を使っているだけに当時の勢力が想像できます。
この辺は円山川から立ち込める霧が一面を覆い尽くし、その雲海の中に浮かぶような城を見ることができることから、天空の城とか日本のマチュピチュと言われているそうです。
実はこのような条件を持ったところは他にも福井や岡山にもあるようでした。
いつかは見てみたい場所として考えていたのですが、ある日(先月のことでした)さまざまな条件が急に整ったので思い切って出かけてみることにしました。
条件とは
1)病院を数時間空けてもいいこと
2)最低気温と最高気温が少なくとも10度以上ある10~3月の期間
3)快晴であること
4)無風であること でした。
そこで朝2時に起床。準備を整えて2時50分出発。竹田城全体を見ることができる立雲峡に出かける計画を立てました。
近畿自動車道-中国道-吉川JCT-舞鶴自動車道-春日IC-北近畿自動車道-和田山で降りて朝来市の設定している無料駐車場へ直行。
この辺りまで来ると周囲は霧が出ていました。周りは真っ暗。まだ5時ですもの。それでも駐車場には既に20台以上の車が止まっており、もうお山に登っている方々の存在が伺えます。
さあ日の出までそれほど時間がありません。あと75分ほどで日の出と予測し、駐車場から登山口まで10分。登山口から展望台まで60分。として歩き出しました。
結構カメラや三脚が重荷です。が足早に歩きました。きっとこれではバテルだろうなあと思いつつ。登山口から登り始めた頃、やっぱり汗が出てきました。汗は冷えると大変体力を奪います。早々に1枚脱いでタオルを首に巻きます。
第1展望台に到着。
この辺りから勾配がきつくなりました。汗もダラダラ出てきます。周囲は霧の中。
そこから10分も歩いたでしょうか、後ろを見ると雲海の中の竹田城が見えます。どうやらここが第2展望台のようです。人が5~6人ほどおられますが、とても足場も悪くてこれ以上は三脚も立てられません。
もうしばらく歩くことにしました。すると更に急な勾配で足元が滑りやすくなって来ました。なんとか上がりきるとそこには15~6名ほどの人々がカメラを構えていました。ここは第3展望台・・・・?だったようです。とは言いましても柵やベンチがあるわけでもない所です。
まだ朝日も昇っていない空。正面にはうっすらと見える竹田城とうごめく綿菓子のような雲海。やっと到着したようです。これを見るためだけに計画したこの時間。充実の瞬間!と感慨に浸るまもなく三脚を伸ばし、カメラをセットして、条件を試して、いざ・・・!
すると立雲峡の背後から少しずつ朝日が昇ってきているようで、目の前の竹田城や雲海が鳶色に染まり出し、さまざまなトーンを見せてくれます。
気が付けば1時間ほどず~と見続けておりました。その間さまざまな条件でシャッターを押したり、レンズを交換しては思いっきり近づいたり、上手に撮れたかどうかは判りませんがいろいろ楽しませてくれました。
7時すぎ。まだ少し居たかったのですが、午前中に帰りたかったので引き上げることにしました。
滑る足元に注意を払いながら下山です。
無事駐車場まで下りてくることができました。車に乗ってまずは、汗で重たくなったシャツを着替え、残っていたおにぎりを頬張り腹を満たしました。そしてゆっくり発車。
やはり広い範囲で霧が立ち込めており、20分ほど走らないと青空は見えませんでした。
そして無事11時頃自宅に戻りホッとしたのでした。
そう言えば先日亡くなられた高倉健さんの最後の映画も、ここで撮影されていたみたいですね。
いい景色を見ようと思ったら、労力を払わないと見ることができない風景もあります。
報われた気持ちでした。