今年のノーベル医学・生理学賞に北里大学特別栄誉教授の大村智先生が受賞されると発表がありました。
この先生は今から40年前に静岡県のゴルフ場の土の中からある放線菌を見つけ、それを使うことで多くの寄生虫を駆除する作用を発見されエバーメクチンと名付けられたのです。
この薬が世の中に出る一歩前に新聞で報じられ、私たち獣医科の学生は大喜びしたものです。
なぜ?世の中が幸せになるから? それもありますが、寄生虫学という学問の試験で駆虫薬を問われれば、大抵の寄生虫に効果があるエバーメクチンは万能の答えができる・・・と喜んだのです。
それから数年後、フィラリア予防のためにそれまでは毎日4月から11月まで投薬していたのが、なんと1ヶ月に一度投薬するだけで予防ができるようになったのもこのエバーメクチンが発見されたお陰です。今ではイベルメクチンという名前で獣医学会にはなくてはならない存在です。
もっとも今回受賞の理由はそれではなく、オンコセルカ症という人の感染症治療・予防に寄与したのが大きな理由です。
その他今でも穿孔疥癬、ニキビダニ、回虫、鉤虫、鞭虫、糞線虫などいろいろな寄生虫に使用されています。
3年前受賞の山中先生は幼少期学園前におられた事もあり身近な存在ではありましたが、今回はまた別に身近に感じたノーベル医学・生理学賞です。
大村先生おめでとうございます。