本日チラシを持ってお見えになりました「秋篠川源流を愛でし育てる会 事務局長」のA様。
6月21日 水曜日 朝 秋篠川の桜並木でお散歩中に愛犬が口元をマムシに咬まれる事故が発生したという内容の文面でした。
咬まれた犬はしばらくして歩けなくなり、飼い主の方が抱っこして帰宅し動物病院に運ばれ適切な治療の末、無事元気を回復しているそうです。
湿度の高いこの時期。マムシやヤマカカシなどのヘビ毒を持ったヘビは、側溝の中、家の裏の倉庫の床下、草むらや石の影、土手に掘られた穴などで息を潜めて隠れています。そこへ散歩中の犬は匂いをかぎつけ鼻から近づき、大抵唇を咬まれてやって来ます。
ヘビ毒と言いますと抗血清が頭に浮かびます。もちろんこれは有効な手段の一つに挙げられますが、なかなか私達動物病院が所望しても入手できる事は稀です。
では絶望的かと申しますとそうではありません。
ヘビに咬まれた場合、まず一番はヘビの牙に生息している細菌が犬の体内に侵入しかなり激しい感染症になり、時には敗血症(血液中で細菌が増殖する)にまで至る場合もあります。そこでしっかりとした抗生物質治療が必要になります。
次にヘビ毒は蛋白質ですのでアレルギー反応や中毒の原因となるため、時には抗血清も必要となるケースもあります。この段階では抗血清を所持されている施設では投与開始されます。ちなみに当院は所持しておりません。
さて今までのケースを省みまして、幸いにも抗血清が必要となったケースはなく、凄い猛者はアメリカ人の方が飼育されていた犬で2度も咬まれて平気だった症例もあります。もちろん咬まれても大丈夫と言っているわけでは決してありません。
万が一の際は慌てずに速やかに近隣の動物病院にかかって頂き、獣医師の適切な治療を受けて頂きたいと思います。
しかし一番大切なのは「君子危うきに近寄らず!」
マムシなどの居そうな場所へは絶対に近寄らないことです。ヘビにはヘビの住処があるわけですから、脅かしてはいけません。